ギター・ベースのアンプは持込か借用か|セット図での書き方と電源・DIの申告【シート無料】
セット図を前にしていちばん手が止まるのが、ギターとベースの欄です。ドラムは「会場のキットを使います」で済み、ボーカルはマイク1本。ところがギターとベースは、アンプを借りるのか持ち込むのか、足元の電源は何口いるのか、DIは何本なのか——書くことが急に増えます。結論から言うと、この3つをそれぞれ1行書けば足ります。この記事では、全国のライブハウスに実際に置いてあるアンプの機種から、持ち込みの5パターン別の書き方、ヘッドだけ持ち込むときのΩ、ボードの電源の数え方までを、そのまま印刷して埋められるA4シート(無料・PDF4ページ)つきで解説します。
- 結論:ギター・ベースが書くのは「借りるか、持ち込むか」
- ライブハウスに置いてあるアンプ——ギターはJC-120、ベースはAmpegかHartke
- 持ち込みの5パターンと、図への書き方
- ヘッドだけ持ち込むときのΩ——ここだけは当日に解決できない
- 記入例——ツインギターのセット図はこう描く
- 足元の電源——口数とパワーサプライの容量
- ベースのDIとステレオ出力——会場のDIは5〜6本しかない
- アンプを使わない編成(Kemper・HX Stomp・Quad Cortex)
- ワイヤレスの申告——B帯は混みやすい
- アンプの置き位置と、返しとの干渉
- 備考欄の文例(コピーして使えます)
- ギター・ベース機材申告シート(A4・4ページ)を無料ダウンロード
- まとめ
- よくある質問(FAQ)
結論:ギター・ベースが書くのは「借りるか、持ち込むか」
ギターとベースの立ち位置は、ほとんど悩む必要がありません。ベースが下手、ギターが上手(ツインなら上手と中央寄り)というのが定番で、そこから大きく外れることは稀だからです。セット図でギター・ベースが本当に伝えるべきなのは、立ち位置ではなく機材の出どころです。
- アンプは会場のものを使うのか、持ち込むのか——持ち込むなら「何を」まで
- 足元に電源が何口いるのか——エフェクターボードを使うなら必ず発生します
- 回線(DI)は何本で、モノかステレオか——ベースとライン出力の人はここ
当日のセッティングで止まるのも、だいたいこの3つのどれかです。「ヘッドを持ってきたけどキャビが合わない」「足元のコンセントが足りない」「ベースのDIが埋まっている」——どれも図に1行あれば事前に解決できたことばかりです。
ライブハウスに置いてあるアンプ——ギターはJC-120、ベースはAmpegかHartke
まず、借りる側の選択肢を知っておくと話が早くなります。実際に公開されているライブハウスの機材リストを並べると、傾向がはっきり見えます。
| 会場 | ギターアンプ | ベースアンプ |
|---|---|---|
| 新宿SAMURAI | JC-120/Fender ’65 Twin Reverb/Marshall JCM900 | Ampeg SVT-3PRO+SVT-810E |
| 新宿21世紀 | JC-120/Peavey Bandit 112/Fender Twin Reverb | Hartke TX300(ヘッド) |
| GROWLY(京都) | JC-120×2/Marshall JCM2000+1960A・MX412A | Hartke HA3500+Ampeg SVT-810E |
| Ark(岡山) | Marshall JCM2000/Orange Rockerverb 100 MkII/JC-120 | Markbass Little Mark Tube 800+Hartkeキャビ |
Roland JC-120(ジャズコーラス)は、全国のスタジオとライブハウスに最も多く置かれているモデルです。「どの会場に行ってもだいたいある」という前提で音を作っておくと、遠征でも慌てません。ベースは Ampeg か Hartke のヘッド+8×10インチや4×10インチのキャビという組み合わせが定番です。
書き方としては、「会場のアンプを使います」で止めないのがコツです。JC-120 が2台ある会場では「上手のJC」「下手のJC」のどちらを使うかで転換の動きが変わりますし、ギターが2人いる編成ならどちらがどのアンプを使うのかが分からないとセッティングが進みません。
持ち込みの5パターンと、図への書き方
ギター・ベースのアンプの扱いは、次の5つのどれかに必ず当てはまります。自分がどれかを決めて、右の文をそのまま備考に書けば終わりです。
| パターン | 図・備考への書き方 | コツ・要確認 |
|---|---|---|
| ①借りる | Gt.Amp:JC-120(会場) | 機種名まで書く。同じ機種が2台ある会場なら「上手のJC」まで |
| ②コンボ持込 | Gt.Amp:持込(コンボ・AC100V 1口お借りします) | 図にアンプの四角を描き、電源の口数を書く |
| ③ヘッドのみ | Gt:ヘッドのみ持込。キャビは会場の Marshall 1960A(16Ω)をお借りします | Ωの一致が必須。合わないと音が出ない・壊れる |
| ④ヘッド+キャビ | Gt:ヘッド+4×12キャビ 持込(台車で搬入・設置3分) | 搬入経路と転換時間に影響する。置き場所も相談 |
| ⑤アンプなし | Gt:ライン出力(HX Stomp)→ XLR 2本・ステレオ。返しはモニターから | アンプの四角を描かない。回線数とステレオ/モノを書く |
①〜②は何も起きません。注意が要るのは③以降です。③はΩが合わないと物理的に音が出ませんし、④は搬入と転換の時間に直結します。⑤はアンプの四角を描かない代わりに回線が増えるので、回線表と合わせて考える必要があります。
ヘッドだけ持ち込むときのΩ——ここだけは当日に解決できない
「ヘッドは自分の、キャビは会場のものを借りる」は、荷物を減らしながら自分の音を出せる良い選択です。ただしひとつだけ、当日その場では解決できない条件があります。インピーダンス(Ω)の一致です。
| キャビ | 一般的なΩ | 備考 |
|---|---|---|
| Ampeg SVT-810E | 4Ω | ベースの定番。8×10インチの大きいやつ |
| Marshall 4×12 | 16Ω | 1960A・MX412A などギターの定番キャビ |
ヘッド側とキャビ側のΩが合っていないと、出力が落ちる・音が出ない・最悪ヘッドが壊れることがあります。「ロー出しハイ受け」で受け側のΩが大きければ使えるケースもありますが、確認せずに繋ぐのは賭けです。やることは3つだけです。
- 自分のヘッドの対応Ωを調べる——背面に「4Ω/8Ω/16Ω」と書いてあります
- 借りるキャビのΩを聞く——セット図の備考に書いておけば、返事と一緒に教えてもらえます
- 分からなければ会場のPAに聞く——これが最短です。当日ではなく事前に
そして、アンプの持ち込みがあるなら、セット図は早めに送るのが鉄則です。会場側は図を見て「このバンドはヘッドを持ってくる」と把握し、キャビをどかさずに残す、電源の口を空けておく、といった準備をします。当日に口頭で言われるのがいちばん困ります。
記入例——ツインギターのセット図はこう描く
実際の図にすると、ここまでの話は驚くほど短く収まります。ギター2人で、1人がヘッドのみ持込、もう1人が会場のJC-120を使う例です。
図の中で効いているのは3つだけです。① アンプの四角に「持込」「会場」と書いてあること、② 借りるキャビのΩが注記してあること、③ 足元の電源の口数が書いてあること。絵のうまさはまったく関係ありません。
足元の電源——口数とパワーサプライの容量
セット図でいちばん抜けるのが電源です。エフェクターボードを使うなら、ほぼ確実に足元のコンセントが必要になります。ところが、ステージの電源がどこに何口あるかは会場のサイトに載っていないことも多い——だから図に書いて先に申告します。
必要な口数を決めるために、自分のボードが何mA食っているかを把握しておきます。
| ペダルの種類 | 消費電流 | 目安 |
|---|---|---|
| アナログ歪み | 4〜20mA | 5台つないでも合計100mAに届かない |
| アナログ空間系 | 20〜50mA | コーラス・フェイザー・アナログディレイ |
| デジタル空間系 | 50〜60mA | ディレイ/リバーブ1台でアナログ歪み3〜10台ぶん |
| デジタル大物 | 〜500mA | 1台で500mA必要なものもある |
計算は足し算だけです。たとえば歪み2台(各15mA)+コーラス30mA+デジタルディレイ60mA+マルチ300mA=420mA。容量1,000mAのパワーサプライなら3/4は750mAなので、これは余裕で収まります。逆にデジタルの大物を2台載せると、それだけで1,000mAに届きます。
図への書き方は、ボードの近くに「電源 1口」と注記を置くだけです。位置の希望があれば「足元・下手寄りに1口」まで書きます。ギター2人がそれぞれボードを使うなら2口。これを書いておくと、当日ステージを横切る延長コードが1本減ります。
ベースのDIとステレオ出力——会場のDIは5〜6本しかない
ライブハウスでは、ベースの音は客席のスピーカーへはDI経由のラインで送られるのが原則です。アンプの音はステージ上で自分と仲間が聴くためのもので、客席で鳴っているベースはDIから卓に入った音——これが基本の作りです。
| つなぐもの | DI | セット図への書き方 |
|---|---|---|
| ベース | 1本 | 会場のDIを借りるのが基本。図には「DI 1本」でよい |
| ベース(プリ持込) | 0本 | DIは不要。持込機材の出力がXLRなら卓へ直接入る |
| Key/同期 | 2本 | ステレオなら1台でDIを2本使う。モノかステレオかを必ず書く |
| Gtライン出力 | 2本 | アンプを使わない編成はここで回線を2本食う |
つまり、書くべきことは「DIを何本借りるか」と「モノかステレオか」の2点だけです。ベースのプリアンプやアンプヘッドにXLR出力(DI OUT)が付いているなら、「DIは不要です」と書くほうが親切です。会場側はその1本を他のパートに回せます。
DIそのものの役割はDIとはで、チャンネルの数え方は回線表(インプットリスト)の書き方でくわしく説明しています。キーボードや同期がいる編成は、回線表も一緒に出すと話が早く済みます。
アンプを使わない編成(Kemper・HX Stomp・Quad Cortex)
アンプシミュレーターやマルチをそのままPAに送り、ギターアンプを一切使わない編成が増えました。荷物が軽く、音も毎回同じになる合理的なやり方ですが、セット図の描き方が変わります。
アンプを使わないときに書くべきなのは、次の4つです。
- モノかステレオか——卓で受ける側がいちばん知りたいところ。ステレオならXLR2本
- 中音をどう作るか——返しから返してもらうのか、小さいアンプを別に置くのか
- 電源が要ること——足元のマルチはほぼ例外なくAC電源が必要です
- 会場のアンプを使わないこと——JC-120はどかしてよいのか、置いたままでよいのか
ワイヤレスの申告——B帯は混みやすい
ギターのワイヤレスを使うなら、備考に1行書いておきます。理由は音質ではなく、電波が被るからです。
| 項目 | 内容 | 現場での扱い |
|---|---|---|
| 帯域 | B帯=806〜810MHz | 特定小電力。免許も運用調整も不要で誰でも使える |
| 混雑 | 被ると音切れ・ノイズ | 同じ周波数が重なると音が切れる。ハコの常設と当たることがある |
| 申告 | セット図の備考に1行 | 「ワイヤレス持込(B帯)。常設と被らないかご確認ください」 |
| 保険 | 有線ケーブルも持参 | 当日に被ったら有線に戻すのがいちばん速い |
B帯は免許も運用調整も不要で誰でも使える帯域なので、そのぶん混みます。会場に常設のワイヤレスマイクが複数あると、持ち込んだギターワイヤレスと周波数が当たることがあり、当たると音切れやノイズになります。事前に申告しておけば、会場側がチャンネルをずらしてくれます。
アンプの置き位置と、返しとの干渉
最後に、図に描く位置の話を少しだけ。ギター・ベースのアンプはステージの奥(バックライン)に置くのが基本で、ベースが下手、ギターが上手が定番です。そのうえで、現場で効くポイントが3つあります。
- アンプを自分の真後ろに置かない——至近距離だと自分には聴こえず、客席だけ大音量になりがちです。少し斜めに、あるいは台に載せて耳の高さに近づけると、音量を上げずに聴こえるようになります
- アンプの正面にボーカルマイクを置かない——ギターアンプの音がVoマイクに回り込むと、ハウリングの原因にも、ボーカルが埋もれる原因にもなります
- 返し(モニター)はステージ最前の床——アンプと返しが同じ向きで鳴ると打ち消し合って聴こえづらくなります。図では台形の返しを各自の足元に描いておきます
ドラムの持ち込みの書き方はドラムのセット図・セッティングの書き方に、編成ごとの定番の並びはバンド編成別のセット図にまとめています。
備考欄の文例(コピーして使えます)
結局のところ、ギター・ベースの申告は備考欄の1〜2行で終わります。よくある状況ごとに、そのまま貼れる文を用意しました。
| こういうとき | 備考欄にこう書く |
|---|---|
| 全部会場のもの | Gt・Ba ともに会場のアンプをお借りします(Gt:JC-120/Ba:Ampeg) |
| コンボ持込 | Gt:アンプ持込(コンボ1台)。電源1口お借りします。JCは使いません |
| ヘッドのみ持込 | Gt:ヘッドのみ持込。キャビは会場の Marshall(16Ω)をお借りしたいです。難しければJC-120で対応します |
| ベースはDIのみ | Ba:アンプは会場のものを使用。DIは会場のものを1本お借りします(持込なし) |
| プリアンプ持込 | Ba:プリアンプ持込(XLR出力)。DIは不要です。返しはベース多めでお願いします |
| アンプなし | Gt:アンプを使わずライン出力(ステレオ・XLR2本)。中音は返しから。電源1口お借りします |
| 電源が2口要る | Gt:足元に電源2口(パワーサプライ+空間系)。タップは持参します |
| ワイヤレス | Gt:ワイヤレス持込(B帯)。会場の常設ワイヤレスと周波数が被らないか事前にご確認ください |
ギター・ベース機材申告シート(A4・4ページ)を無料ダウンロード
ここまでの内容を、そのまま印刷して埋めるだけのA4シートにしました。1ページ目が記入用(アンプ・配置図・電源・回線の4欄)、2ページ目が記入例、3ページ目がアンプ早見表(常設機種・持込5パターン・備考の文例)、4ページ目が電源とDIのチェックリスト13項目です。登録不要・完全無料、印刷も配布も改変も自由です。
使う順番は3ステップです。① 3ページ目の5パターンから自分がどれかを選ぶ → ② 1ページ目のアンプ欄に機種名と持込の種別、Ω・電源・DIを書く → ③ 配置図に四角を置いて「持込」「会場」を注記する。この3つが埋まっていれば、当日アンプまわりで止まることはまずありません。
まとめ
- ギター・ベースが書くのは立ち位置ではなく「借りるか、持ち込むか」
- 常設アンプはギターがJC-120、ベースがAmpegかHartke。「会場のもの」ではなく機種名で書く
- 持込は5パターン。③ヘッドのみ持込だけはΩ(4Ω/16Ω)の一致を事前に確認する
- ボードを使うなら足元の電源の口数を書く。パワーサプライは容量の3/4まで
- ベースはDIの本数とモノ/ステレオ。会場のDIは5〜6本しかないことがある
- アンプを使わない編成はXLRの本数と中音(返し)を書く。ワイヤレスはB帯の被りを一言


