ドラムセッティング図・配置図の書き方|セット図での持ち込み・レンタルの伝え方【申告シート無料】
ドラムのセッティング図(配置図)は、上から見た平面図で描きます。ただしライブハウスのドラムはほぼ会場の備え付け(ハウスキット)で、並びはどこでもほぼ同じです。だから会場に伝えるべきなのは、配置そのものより「何を持ち込んで、何を借りるか」と標準から外れるところ。この記事では、上から見た標準の配置図(右利き・左利き・ツインペダル)と、セット図での書き方を記入例つきで解説します。そのまま使えるA4の機材申告シートも無料で配っています。
結論:ドラマーが書くのは「配置」より「持込か、借りるか」
ギターやベースと違い、ドラムには立ち位置を考える余地がほとんどありません。ステージ奥の中央、もしくは少し上手寄りに最初から組まれているのが普通で、演者が動かすものではないからです。
そのぶん、ドラマーがセット図で伝えるべき情報ははっきりしています。
- 会場のドラム(ハウスキット)を使うのか——ほぼこれになります
- 自分で持ち込むパーツは何か——スネア・ペダル・シンバルが定番
- 特殊なセッティングはあるか——ツインペダル、左利き、タムの数の変更など
その前提として、標準の配置を頭に入れておくと話が早くなります。標準が分かっていれば、図に書くのはそこからの差分だけで済むからです。
上から見たドラムセットの配置図——パーツ名と標準の位置
ドラムのセッティング図は、真上から見た平面図で描きます。まずは右利き・2タムの標準形です。ライブハウスのハウスキットも、ほぼこの形で組まれています。
| パーツ | 位置(右利き・ドラマーから見て) | 叩く手足・目安 |
|---|---|---|
| キック | 正面の足元(体の中心) | 右足でペダル。22インチが定番 |
| スネア | 両膝の間。キックの左手前 | 両手。高さは腰くらい、手前へ5〜20度傾ける |
| ハイハット | スネアの左。間は約20cm | 左足で開閉、右手で刻む。開きは3〜4cm |
| タム | キックの上に2つ。左が10、右が12インチ | 左から右へ音が低くなる並び |
| フロアタム | 右手前。スネアと左右対称 | 右手が中心。16インチが定番 |
| ライド | 右奥(フロアタムの上) | 右手。1タムならハイタムの横へ |
| クラッシュ | 左奥と右奥に1枚ずつ | 1枚しかない会場もある(ライドと兼用) |
| スローン | キックの真後ろ | 膝が約90度になる高さ |
セット図に描くと左右が逆になる(右利きのハイハットは上手側)
ここでいちばん間違えやすいのが図の向きです。ドラムだけのセッティング図はドラマーの席から見た向き(上が客席)で描くことが多い一方、バンド全体のセット図は客席から見た向き(下が客席、左が下手)で描きます。ドラマーは客席を向いて座っているので、同じキットでも左右が逆になります。
- 右利きのハイハットは上手側——ドラマーの左手側は、客席から見ると右(上手)です
- フロアタムとライドは下手側——ドラマーの右手側は、客席から見ると左(下手)です
- 図の上に「客席」と一言書く——どちら向きの図か分かれば、読み違いは起きません
上手・下手の決まりは上手・下手とはで解説しています。なお、バンド全体のセット図ではドラムを「Dr」と書いた円ひとつで済ませるのが普通です。キットの中身まで描くのは、持ち込みや変則セッティングを伝えたいときだけで足ります。
右利き・左利き・ツインペダルで、図はどう変わるか
標準から外れるセッティングは、図の上でもはっきり形が変わります。会場への伝え方とあわせて並べました。
| セッティング | 図ではこう変わる | 会場への伝え方 |
|---|---|---|
| 右利き(標準) | 上の図のとおり。ハイハットは左、フロアタムとライドは右 | 申告不要 |
| 左利き(反転) | 図を左右反転。ハイハットが右、フロアタムとライドが左へ | 最優先で事前連絡。組み替えに10分以上かかることも |
| オープンハンド | キットは右利きのまま。左手でハイハットを刻む | 申告不要 |
| ツインペダル | キックに左足用のペダルが付き、ハイハットが少し左へずれる | 持込を明記し「設置に5分」と添える |
| 1タム | タムを1つ外し、ライドをハイタムの横へ寄せる | 「可能であれば1タム」と代案つきで |
| タム・シンバル増設 | 3タム・2フロア・チャイナ・スプラッシュなど | 足りないスタンドの本数まで書く |
| ツーバス | キックが2台。タムはスタンドで立てる | ハウスのキックは1台。キット持込として相談 |
ハウスキットに含まれるもの・含まれないもの
ライブハウスに備え付けられているドラムをハウスキットと呼びます。まずは、実在の会場が公開している機材リストを並べてみます。
| 会場 | ドラム(インチ) | シンバル(インチ) |
|---|---|---|
| 新宿SAMURAI | Pearl:キック22/タム10・12/フロア16/スネア14 | ハイハット+シンバル3枚 |
| 新宿21世紀 | Pearl:キック22/タム10・12/フロア16/スネア14 | Zildjian:クラッシュ18/ライド18/シズル20 |
| GROWLY(京都) | Pearl(サイズの記載なし) | SABIAN:ハイハット14/クラッシュ16・18/ライド20 |
| 高校軽音フェス | キック22/タム12・13/フロア16(2タム固定) | クラッシュ2枚/ライド1枚/ハイハット |
機材リストに載らない部分も含めて、パーツごとに整理するとこうなります。
| パーツ | ハウスキット | 補足 |
|---|---|---|
| キック | ◎ ある | 22インチが定番 |
| タム・フロアタム | ◎ ある | 2タム(10・12インチ)+フロア16が定番。1タムにしたいなら要確認 |
| スネア | ◯ あるが持込多数 | 音の要なので持ち込む人が最も多いパーツ |
| スタンド類 | ◎ ある | シンバル・ハイハットのスタンドはまず揃っています |
| シンバル本体 | △ 会場による | クラッシュ1〜2枚+ライドが多い。状態はまちまちなので、こだわるなら持込 |
| キックペダル | ◯ あるが持込多数 | 踏み心地が変わるため持ち込む人が多い |
| スローン | ◎ ある | 高さは自分で調整します |
| スティック | ✕ ない | 必ず自分で持参。予備も含めて |
持ち込みの定番3つ——スネア・ペダル・シンバル
ドラマーが持ち込むものには、はっきりした優先順位があります。荷物を減らしたいときの判断材料にもなります。
① スネア(持ち込み率が最も高い)
ドラムの音のキャラクターを最も大きく左右するパーツで、持ち込むならまずここです。運搬もケース1つで済みます。セット図には「Sn 持込」と書くだけで伝わります。
② キックペダル
踏み心地は個人差が大きく、慣れたペダルの方が確実に演奏しやすくなります。ツインペダルの場合は必ず申告してください。セッティングに時間がかかり、転換の段取りに影響します。
③ シンバル
こだわりがある場合や、備品の状態が読めない場合に持ち込みます。ただし枚数が増えるほど転換が遅くなるので、対バン形式では絞るのが現実的です。持ち込むならライドだけ、クラッシュ1枚だけという選び方もあります。
セット図でのドラムの書き方(記入例)
実際の書き方はとてもシンプルです。持ち込むパーツだけが分かればいいので、図の中で区別できるようにしておきます。
バンド全体のセット図では、ドラムは「Dr」と書いた円ひとつで表すのが普通です。そのうえで、余白か備考欄に持ち込みを書き添えます。
| こういうとき | 備考欄にこう書く |
|---|---|
| 全部会場のもの | Dr:ドラムはハウスをそのままお借りします |
| スネアとペダル持込 | Dr:スネア・キックペダルのみ持込。他はハウスをお借りします |
| ツインペダル | Dr:ツインペダル持込。スネアも持込。セッティングに5分ほどいただきます |
| 1タムにしたい | Dr:可能であれば1タム(ハイタムを外して)でお願いします。難しければ2タムのまま叩きます |
| 左利き | Dr:左利きセッティング(オープンハンドではなく完全に左右反転)。組み替えの時間をご相談させてください |
| シンバル持込 | Dr:ライド・クラッシュ1枚持込。スタンドは会場のものをお借りします |
| パッド併用 | Dr:サンプリングパッド持込(L/R・DI 2本お借りします)。足元に電源1口 |
| クリック・イヤモニ | Dr:イヤモニ(有線)持込。手元のミキサーでクリックと混ぜるので、返しを1系統ください |
スマホだけで図にして提出まで済ませたい方は、スマホでセット図を作る手順(PDF化と送り方まで)もあわせてどうぞ。
ツインペダル・左利き・変則セッティングの伝え方
標準から外れるセッティングは、事前に伝えておかないと当日ほぼ確実に揉めます。理由は、時間がかかるからです。
| セッティング | 影響 | 伝え方 |
|---|---|---|
| ツインペダル | 設置と撤収に各3〜5分 | 持込を明記し、転換時間への影響を一言添える |
| 左利き(反転) | キット全体の組み直しが必要で10分以上かかることも | 最優先で事前連絡。出番の順番調整が必要になる場合があります |
| オープンハンド | ほぼ影響なし | キットは標準のままなので、特に申告不要 |
| 1タム | タムとホルダーを外す手間がかかる | 「可能であれば1タム」と代案つきで書く |
| タム・シンバル増設 | スタンドの本数が足りない可能性 | 必要なスタンド数まで書いておくと確実 |
| 電子パッド併用 | 電源とDIが必要 | 電源の口数とDI本数を必ず記載。ここが最も抜けます |
電子ドラム・サンプリングパッド・クリックを使うとき
電子ドラムやパッドを持ち込むときに書くのは、出力の本数と電源の口数の2つです。
| 持ち込むもの | 回線(出力) | 電源 |
|---|---|---|
| サンプリングパッド | L/MONO・R の2本(モノなら1本)→ DI | 1口 |
| 電子ドラム一式 | モジュールの MASTER OUT L/MONO・R → DI 2本 | 1口(モジュール) |
| トリガー | モジュール経由で出す。本数は上と同じ | 1口(モジュール) |
| 同期音源 | L/R の2本 → DI。クリックは客席に出さない | PC・インターフェースで1〜2口 |
| クリック | イヤモニか返しにだけ送る | 手元の機材による |
転換を早くするドラムの準備
ドラムは転換のボトルネックになりやすいパートです。準備の仕方だけで体感が変わります。
- スネアはケースから出しておく——自分の出番前に、袖でスタンドに載せられる状態にしておきます
- ペダルはあらかじめ組んでおく——ツインペダルは特に。現場で組み始めると数分持っていかれます
- シンバルは順番に重ねておく——使う順に重ねておくと、置きながら考えずに済みます
- スティックは複数本セットしておく——落としたとき用に、フロアタム脇に立てておくのが定番です
- 撤収も同じ速さで——次の演者が待っています。自分の持込だけ素早く回収して袖へ
転換全体の流れは転換とはで解説しています。当日のタイムテーブル全体を把握しておきたい方はライブハウス初出演の流れもあわせてどうぞ。
マイキングとの関係——PAに伝わる書き方
ドラムはマイクの本数が最も多いパートで、キック・スネア・ハイハット・タム・オーバーヘッドで7本前後立てるのが標準です。マイクは基本的に会場のものを使うので、セット図に型番まで書く必要はありません。
ただし、次のケースだけは回線表に反映されるので書いておきます。
- タムの数が標準と違う——マイクの本数とCh数が変わります
- 電子パッドを併用する——ラインで受けるためDIとChが必要です
- キックにミュートを入れている/穴なしのキックを持ち込む——マイクの立て方が変わります
マイクの立て方そのものに興味がある方はドラムのマイキングで詳しく解説しています。中音・外音の考え方は中音と外音をどうぞ。
ドラム機材申告シート(A4・4ページ)を無料ダウンロード
ここまでの内容を、印刷して埋めるだけのA4シートにしました。1ページ目が記入用(キット図の□に✓を入れるだけ)、2ページ目が記入例、3ページ目が早見表(標準配置とセット図での向き・常設ドラムの実例・変則セッティング)、4ページ目が電子パッドの回線と電源・備考の文例・提出前チェック12項目です。ギター・ベース機材申告シートと同じ体裁なので、バンドでまとめて出せます。登録不要・完全無料、印刷も配布も改変も自由です。
使う順番は3ステップです。① 3ページ目の標準配置と見比べて、自分のセッティングが標準から外れるところを探す → ② 1ページ目のキット図で持ち込むパーツの□に✓を入れ、セッティングを選ぶ → ③ 電子パッドやイヤモニがあれば、出力の本数と電源の口数を下の欄に書く。これが埋まっていれば、当日ドラムまわりで止まることはまずありません。マイクの本数と回線は、回線表の側で書きます。
まとめ
- ドラムのセッティング図は上から見た平面図。右利きならハイハットとスネアが左、フロアタムとライドが右
- バンドのセット図(客席から見た向き)に描くと左右が逆。右利きのハイハットは上手側に来る
- ハウスキットは2タム(10・12)+フロア16+キック22が定番。スティック以外はだいたい揃っています
- 持ち込みの定番はスネア・ペダル・シンバル。対バンならスネアとペダルだけが現実的
- 左利き・ツインペダル・1タム・電子パッドは必ず事前申告。電子パッドは出力の本数と電源の口数まで
- 備考は「可能であれば」「難しければ〜で対応します」と代案つきで書くと話が早い


